暑い暑いと聞いたのに、外は柔らかい風が吹いた。拍子抜けもイイトコ、さっきまでのボルテージなら高速道路走る車のバンパーの上でタイタ●ックごっこ
できたのに、「沢村 今日涼しいで」と虎が背後に唸る。
怠々と赤い空の下、前方五歩先を行く千堂とその後方を歩く沢村。
「良いじゃん。涼しくて」
あかん これから海行ったりすんねん、泳いだり、八月ンなったらくらげ出るし、「まだ五月だよ」千堂の弾丸を遮ったが「日に焼けんじゃん」、
ええやん やだよ ええやん やだね なんやねんノリ悪アーホ お前がね あほ 後発の何発かは諸に喰らう。
千堂はパーカーのポケットに両手を突っ込み唇をとがらせた。
うるせえなあ「何をそんな急に、急いでんの」いつでも行けんだろ海くらい、
沢村は反撃の準備をした。しかしその反撃の弾は次のリロードのせいで空発する。
「いそがしくなるやん」
お、お互いにボソボソ 千堂は不格好にそう付け足して更に早足になった。「ま、いつでも行けるんならええけど」フンと半ば不貞腐れる。
沢村は自分で行けると言っておいて確かに「ああそうか」と相づちを打った。
「てめえになんかかまってられねえな」
せや せや、わいのことなんぞほっておけフン。沢村は「小学生みたいだ」と馬鹿にしながら、「海行く?」と発案した。「行く!」千堂は答えた。「いつ行く?」「明日!」千堂は手をポケットに突っ込んだまま振り返る。口の端上げて歯を見せた。
小学生だな。
と沢村は、赤い空の下、 ―
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