家具屋にて.
シーツの棚から、2・3歩下がったところから、腕を組んだ虎が唸り声をあげ、
そして言った。「これ、 値段の違いはなに?」
シーツの棚から1歩も離れないところで、竜が答える。
「質だろ‥」
「だから質てなんやねん」
「気持ちいい、とか、柔らかい、とか‥」
「質ゆうてもな、」
千堂はやはり変わらぬ位置から大真面目な顔で言った。
「なんぼ高いの買うても、どっかの誰かがすぐ汚しよるからの」
「それほとんどお前だよ」
「死にたいなら脳天出せ」
「じゃ出さねえよ」
一瞬の殺気と溜め息の後、沢村は棚からひとつシーツをとって、千堂の脳天を叩く。「じゃ、これで」
「ア?」
千堂はシーツの箱のバーコード横を見て、不平の声をあげた。
「なんでよりによって一番高いやつやねん、」
「半分出すよ」
「そういう問題じゃあらへん」
「じゃなんだよ、
少し高いの買って大事に使えよ、まあ‥
そのためにはお前が回数を減らすしかな」
感覚的に何かが切れる音を聞いて、みなまで言う前に沢村は、
シーツの棚に頭から突っ込んだ。
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